柿がなる あああ今年も柿がなる 庭に植えられた柿の木は今年も今年とて鈴生りに実を生らす。 秋風に揺れる実達は収穫を急かすように、もう鮮やかに熟れているのに。 なのに、それなのに、食べさせようとするひとが居ないのはおかしな話。 あんなに嫌だったのに。 食べたくなかったのに。 あの戯れの時間を懐かしむ自分が居る。 何がこんなにも寂しいのか。 「市丸隊長」 切り倒したいとも思った柿の木に彼の人を見て、ひどく恋しかった。 ああ、今年も柿がなる。 ……… 三番隊舎の庭には隊長の植えた柿の木があると知って書かずにはいられようか。干し柿話。 流石の市丸も虚園まで木は持っていけない。(当たり前) 柿の木を見かけるたびに隊長のことを思ってしまうだろう一途なイヅルが好きです。