四月一日の話
 
「ボクな、イヅルのこと大っ嫌い」
 
「ええ」
 
「その顔も、目ェも、声も、唇も、髪も、指も、脚も、笑顔も、イヅルの全部が嫌い」
 
「それは結構なことですね」
 
「イヅルはボクのこと嫌い?」
 
「ええ、無論」
 
「なんや、素っ気ないな」
 
「だって嫌いですから」
 
「成程」
 
「正直、傍に居るのが苦痛で仕方在りません」
 
「ああ、そらボクも思う」
 
「顔を見るのも、同じ空気を吸うのも不快極まり無い」
 
「せやねぇ」
 
「貴方の存在に虫酸が走ります。最悪です。死んでください」
 
「……それはちょお、言い過ぎなんと違う?」
 
「何処がです?」
 
「真顔で返すなや」
 
「仮に貴方がさっくり死んじゃったとするじゃないですか」
 
「え、何やその仮定」
 
「職務放棄するひとを追い掛ける手間は無くなりますし、重要書類の紛失の頻度もぐっと下がる、上司のくだらない思い付きに振り回される事も無くなる、仕事がはかどって休みが増える……そうそう、僕の慢性的な睡眠不足と腰痛も快癒に向かいますね」
 
「えー……ちょぉ、おま」
 
「結果、皆幸せになります。そういう訳で即刻死んでいただけませんか?」
 
「佗助を下ろさんかい!!どこぞにええ笑顔で隊長に刀向ける副隊長がおんねん!」
 
「最初から貴方を隊長なんて思ってませんから。……つーか、勤務中に発情するとかありえねえし」
 
「いやあああああああああ。そないな冷え切った目ェで見んといてえええええ」
 
「ちょっと……触んないでください。服が汚れる」
 
「ごめんなさいイヅルさん。ボクが悪かったですううう!!」
 
「謝らなくても結構ですよ。貴方は僕がお嫌いなんでしょう?」
 
「いやいや!嘘です!嘘!やって今日、エイプリルフールやん!」
 
「四月一日の発言が全て嘘だと思わない方が良いですよ」
 
「ぎゃあああああああああ」
 
 
…………
お粗末!
サドイヅで四月一日!そして激しくありがち!←
嘘と言えば市丸の専売特許ですが、我が家だとこうなる。

201058 微修正。

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